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2012.01/31(Tue)

カリウム40とセシウム137 (3)

明治の粉ミルク問題ですが、「アカチバラチの日記」さんから勉強しました。

母乳に含まれる放射性カリウムK40を基準に考えると、その粉ミルクに含まれる放射性セシウム137は無視できる量であると、結論しています。乳児がミルクを1日に1リットル飲んだ場合として、アカチバラチの日記さんは被曝量を↓の表のようにまとめました。表中、下の二行の「元々」はカリウム40による寄与(自然被曝)です。

今回の放射性セシウム    : 0.100マイクロシーベルト
母乳に元々含まれるもの   : 0.868マイクロシーベルト
粉ミルクに元々含まれるもの : 2.108マイクロシーベルト

粉ミルク授乳の場合、放射性セシウムによる寄与は20分の1、これをどう評価するか。一年、これを飲み続けると放射性カリウム40によって約0.7 mSv (自然被曝), 放射性セシウムによってその5%の約0.04 mSv (人工被曝)の被曝になる。この寄与の健康影響については、後日また考えたいと思います。

ここで私が問題にしたいのは、この乳児にどれだけ放射性セシウムが蓄積するか、という点です。

今回の粉ミルクを用いると、1リットルの中にはセシウム137とセシウム134合わせて約4 Bq含まれることになるようです。
放射性セシウムの生物学的半減期は「蛭子ミコト:ブログ版」さんによると約9日。この値を使い、1.44×1日の摂取量×有効半減期(ただし、有効半減期=実効半減期は日数として表す)によって体内蓄積量(飽和量、定常値、平衡値)を算出すると約50 Bq(人工被曝)。乳児の体重を10 kgとすると、体内カリウム量はその約0.2%(だいたい20 g)、よって放射性カリウムは600 Bq(自然被曝)程度になります。物理学的半減期は生物学的半減期に比べとても長いので、実効半減期は生物学的半減期に等しいとみなせる。

乳児は日々成長しているわけで、こうした計算はとても粗いわけですが、自然被曝(カリウム40)に対する人工被曝の割合を大雑把に見積もってみるのも一つの目安にはなるでしょう。

体内における(放射性セシウム)/(放射性カリウム)の比率がどのようになるかは、次の二つの要因によって決まる。
①生物学的半減期は、乳児の成長に伴って日々長くなっていく。その結果、放射性セシウムは蓄積しやすくなっていく。
②一方、体内カリウム量(その一万分の一がK40)は日々増加していく。

結局、生物学的半減期の一日当たりの増加率と体重の一日当たりの増加率を計算に組み込むともう少し正確な(放射性セシウム)/(放射性カリウム)の比率が見積もられると思います。もしかすると、生物学的半減期の増加率は体重の増加率に等しくなるように計算されている可能性もありますが、どなたかご教示いただければ幸いです。

なお、上表をみると、仮に粉ミルクがセシウム汚染していない場合であっても(二行目と三行目の比較)、自然被曝をできるだけ抑えるという基準だけをとると母乳の方がよい、という結論が内包されているようにも感じられます。

しかし、それが錯覚であることは前回、カリウム40とセシウム137 (2)で述べたとおりです。体内カリウム量はホメオスタシス調節されているため、日々のカリウム摂取量にかかわらずほぼ一定の範囲に保たれており、このため自然被曝量もほぼ一定に保たれるはずなのです。


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13:52  |  低線量被曝  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
2012.01/28(Sat)

カリウム40とセシウム137 (2)

カリウム40の体内蓄積量について大きな誤解があるようだ。
例えば、↓
hsugigonさんが説明する「体内のカリウムとセシウム」

ある元素の体内量が、体のホメオスタシスにかからないのであれば、その放射性同位元素の体内蓄積量(飽和量、定常値)は次式にしたがう。
1.44×1日の摂取量×有効半減期
(ただし、有効半減期=実効半減期は日数として表す)
前回に記した式と表現は異なるが実質は同じだ。
しかし、体内量がホメオスタシスによって維持されている元素であれば、話はまったく別になる。

このことを混同した議論が蔓延しているようなので注意して欲しい。
その混同の結果、カリウム40による自然内部被曝でも、カリウム摂食量に応じて「実に大きく」変わっているのが普通のことなのだ、、、という結論が導き出されている。これはドンデモない。

カリウムの約一万分の一は放射性カリウム40だ。
もし、K40の量が上式で決められているとすると、カリウム摂取量が多い人ほど自然内部被曝が強い、ということになる。
この誤った結論から導かれる結論は
①カリウム40の被曝をできるだけ抑えるためにはカリウム摂取量をできるだけ落とせ、とか
②カリウム40の蓄積量は高カリウム摂食により8000 Bqを超える場合もあり、したがってこの程度の内部被曝は人体に悪影響はない、云々
と言った形で、セシウム137摂取は健康に影響しない、というトンデモない結論を導くために使われているようだ。
困ったものだね。

カリウムはすべての細胞にとってなくてはならない元素であり、適正量を維持しなくてはならない。このため、どのような生物もその存在量はある一定の範囲に収まるよう、ホメオスタシスによって調節されている。人体の場合、体重のおよそ0.2%を占めている(すなわち、60 kg の成人ではおよそ 120 g のカリウムが含まれる(Wikipedia)。このうちカリウム40が一万分の一(より正確には0.000117,つまり12.2 mg)あり、カリウム40の比放射能が260 Bq/mg(原子力資料情報室)であるため、体内には 12.2 x 260 ≒4000 Bqが含まれることになる(カリウム1 g当り約30 Bqのカリウム40が含まれるといってもよい)。

セシウム137は比放射能が高い(3200 Bq/ng; カリウム40の1000万倍以上)。毎日カリウムを2 g摂るとするとカリウム40は60 Bq。セシウム137を同じ60 Bq摂取しても、重量としてはカリウム40の千万分の一以下。カリウム全体の千億分の一以下という勘定になる。

セシウムに対する独自のホメオスタシスはどのような生命も持ち合わせていない、と考えるのが妥当である。カリウムのホメオスタシスによってある程度の調節はされるだろうが、前回述べたように、セシウム137の生物学的半減期はカリウム40より2倍以上も長い。このことと、セシウム137の比放射能の圧倒的高さとから、その放射能はカリウム40以上に蓄積する可能性がある、と考えるのが妥当だろう。

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20:30  |  低線量被曝  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
2012.01/28(Sat)

カリウム40とセシウム137 (1)

カリウム40は放射性同位体で、非放射性カリウムの約一万分の一だけ存在する。
物理学的半減期は12.8億年なので、約30数億年前、原始の海で生命が誕生したころには、現在の4倍ほども存在していたものと考えられる。現在では、人体に約4000Bqが定常的に存在するとされる。これは避けることのできない自然被曝、内部被爆だ。その影響については基本的に未知であると考えてよいことは前回述べたところである。

非放射性カリウムとカリウム40は、放射能を持つかどうかという一点で異なるだけで、生物学的挙動はそっくり同じのはずだ。
これに対し、カリウム40とセシウム137の生物学は基本的に異なる、と考えてよい。
それは、生物学的半減期がそれぞれ30日と70日~110日と異なるという点に端的に表現されている。

化学的性質が良く似ているので、生物学的性質も似ている、という議論がネット上で散見されるけれども、生物学的半減期の違いを見ればその議論の誤りが容易に明らかとなるわけだ。

セシウム137はカリウムより人体から(細胞から)排出されにくい。

セシウム137の生物学的半減期から概算すると一日当り体内蓄積量の約1%が排出される。
このため、一日の摂取と排出の収支がゼロになる定常状態では、摂取量(=排出量)の約100倍のセシウム137が蓄積していることになる。

40 Bqのセシウム137を毎日摂取し続けると、少しずつ増えていって4000 Bqぐらいになると、蓄積量は飽和し、もうそれ以上は増えなくなる(収支ゼロの定常状態に達する)。1 Bq摂取だと蓄積量約100 Bq。
(つづく)

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02:15  |  低線量被曝  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
2012.01/26(Thu)

「自然被曝は安全だ」の落とし穴

被曝には自然被曝と人工被曝がある。
人工被曝の危険度を評価するにあたって、自然被曝でこれだけなのだから、それぐらいの人工被曝は無視できる、という議論が成立する。
果たしてそうか?その議論には落とし穴が隠されていることに誰も気づいていないようだ。

DNA損傷などを修復する能力を生命はもつ。
生命誕生以来、自然被曝を生き抜いてきたものたちだけが現存している。これは明らかなことだ。

問題なのは、「生き抜いてきた」という言葉の深い意味である。

ダーウィンの進化論は生物学の基本原理の一つである。
この原理、つまり自然淘汰原理に従って考えると次のようになる。

繁殖年齢を過ぎて以降に発現するどのような傷害も、その個体の残す子孫の数には全く影響を及ぼさない。
女性を例にとると考えやすいだろう。初潮+α➜閉経の間が繁殖年齢だ。
つまり、自然被曝による傷害が繁殖年齢以降に現れても、自然はかまっていない、ということだ。
自然被曝が「安全だ」というのは、このような意味である。

実は、安全であるかどうかを確かめた人は誰もいないはずだ。
病因や死亡要因のうち、どれだけが自然被曝によるものなのか、あるいは自然被曝は全く関係しないのか、誰も調べたことはない(と思う)。自然被曝を除去するのは難事であるから研究がきわめて困難だ。

(追記:2/7/2012)なお、(財)体質研究会で紹介されている高自然放射線地域住民の健康調査は参考になる。
この調査研究を検討するうえで注意すべき点は、もともとそこに(少なくとも二代以上)住み続けていた住民どうしを比較している、という点ではないだろうか。すべてを読んだわけではないけれど、近代化が進んでいないような地域では住民移動もきわめて稀だ。この場合、その地域に何世代、何十世代にもわたって住み続けたことになり、ある程度の耐性があった人々が子孫を残してきたという可能性がある。下表は上記サイトから拝借したもの。
表1 世界の高自然放射線地域における大地放射線量(mSv/y) 
地域 平均値 最高値
ラムサール(イラン) 10.2 260
ガラパリ(ブラジル) 5.5 35
ケララ(インド) 3.8 35
陽江(中国) 3.5 5.4
香港(中国) 0.67 1.0
日本 0.43 1.26

↑で「誰も調べたことはない」と述べたことの意味は、例えば、低線量地域の住民を二つに分け、一方はそのまま居住、他方は高線量地域へ移住してもらって、比較研究するといったものや、自然放射線をほとんど完全に遮蔽した部屋で、例えば飲食物からも放射性カリウム40をほとんど除去したものを与えて育てた実験動物(倫理的には不可能であるが、純科学的な理想としてはヒト)と普通に育てた実験動物を比較する、といった研究を想定している。
実験動物のデータはヒトには外挿できない場合がある、と私は考えている(外挿できるものもあるが)。

明らかなことは、個人差はあるけれども人類全体としては繁殖可能である、という当たり前のことだけだ。

放射線に対する耐性には遺伝的な個人差があるだろう。このうち、弱い方に属する人たちは自然被曝によることが一つの要因になって発病し、繁殖力を低下させるだろう(その極端なケースでは、繁殖力ゼロ、あるいは死亡)。

自然被曝は避けようがない。
だから、それが安全であろうが危険であろうが、私たちは受け入れるしかない。
日常生活において気にするのは馬鹿げている。

しかし、自然被曝を生き抜いてきたのだから自然被曝は安全だ、という形で議論されるのは困るのだ。

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tag : 自然被曝 カリウム40 自然淘汰 ダーウィン

14:29  |  低線量被曝  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
2012.01/19(Thu)

低線量被曝と損失寿命

大阪工業大学の渡辺信久教授による講演記録、
(環境リスクに関する講演第4回 サステイナブルセミナー 岡山大学環境管理センター主催 2011 Oct 24)(PDFファイル)には、次のような記述があります。

「10-5をリスク受容の目安」もしくは、ALAP(As low as possible) を唱えていれば、学者としての我が身を守ることができます(最近型御用学者)。

これは皮肉なのかジョークなのか定かではありませんが、過剰発ガン死リスク10-5がこの業界内での一応の基準であることのようです。10(10万人)の死者のうちある特定のリスク因子によって発ガン死亡したものが一人未満になるよう、そのリスク因子の濃度を低くすべきである、という基準のようです。

ICRP勧告(2007)によると、1シーベルトの累積線量で過剰発ガン死リスクは5.7x10-2に達します。1ミリシーベルトだと5.7x10-5になりますね。環境リスク学(?)業界の標準的基準10-5からすると生涯累積被曝線量1ミリシーベルトは、ちょっと危険な領域だ。一般公衆に浴びせても仕方ないとされてきた年間1ミリシーベルトの線量(線量率として 1 mSv/year = 114 nSv/hourの一年被曝)でも、この業界基準からするととんでもない値だ、ということになります。

さて、彼はリスク因子による損失寿命を簡便に計算する近似的方法を考案したようです。

損失寿命(損失期待余命、損失余命):リスクなしに期待される平均余命と比べ、そのリスクによって余命がどれだけ短縮するかの平均値

それによると、過剰発ガン死リスク10-5当り約210分ということです。

これを使って大雑把に見積もってみると、、、
年間1ミリシーベルトの線量を被曝すると、その5.7倍、つまり20時間の損失が発生します。
年間12ミリシーベルトを浴びると、約10日の損失です。この被曝を36年続けると(累積被曝線量は432 mSv)損失余命はだいたい一年となります。
累積被曝線量 1 Sv (過剰発ガン死リスク5.7x10-2)による損失寿命は2.3年。


年齢差や性差、その他の事情も無視した概算ですが、外部被曝をどれくらい怖がらなくてはいけないのか、おおよその目安にはなるのではないでしょうか。

なお、福井県立大学の岡敏弘教授の試算の一つ「放射性物質汚染食品規制のリスク便益分析」(2011.11.20)日本リスク研究学会(PDFファイル)によると、累積線量10ミリシーベルトによって誘発される損失寿命の男女平均(以下、括弧内に女性の場合を示す)は以下の通りです。

0歳児は17日(20日)
0~9 歳児は14日(17日)
10~19 歳で10日(11日)
20~34 歳で6日(7日)
35~49 歳で3日(3日)
50 歳以上なら1日(1日)
全体平均で約4日(5日)

岡教授の上記論文などをざっと見て、なるほどこのようにして政策というものは立案するものなのか、と世間知らずの小生なんぞは軽いカルチャーショックを受けました。これについてはまた別の機会に譲ります。

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tag : 過剰発ガン死リスク 損失寿命 環境リスク

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