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2012.01/28(Sat)

カリウム40とセシウム137 (2)

カリウム40の体内蓄積量について大きな誤解があるようだ。
例えば、↓
hsugigonさんが説明する「体内のカリウムとセシウム」

ある元素の体内量が、体のホメオスタシスにかからないのであれば、その放射性同位元素の体内蓄積量(飽和量、定常値)は次式にしたがう。
1.44×1日の摂取量×有効半減期
(ただし、有効半減期=実効半減期は日数として表す)
前回に記した式と表現は異なるが実質は同じだ。
しかし、体内量がホメオスタシスによって維持されている元素であれば、話はまったく別になる。

このことを混同した議論が蔓延しているようなので注意して欲しい。
その混同の結果、カリウム40による自然内部被曝でも、カリウム摂食量に応じて「実に大きく」変わっているのが普通のことなのだ、、、という結論が導き出されている。これはドンデモない。

カリウムの約一万分の一は放射性カリウム40だ。
もし、K40の量が上式で決められているとすると、カリウム摂取量が多い人ほど自然内部被曝が強い、ということになる。
この誤った結論から導かれる結論は
①カリウム40の被曝をできるだけ抑えるためにはカリウム摂取量をできるだけ落とせ、とか
②カリウム40の蓄積量は高カリウム摂食により8000 Bqを超える場合もあり、したがってこの程度の内部被曝は人体に悪影響はない、云々
と言った形で、セシウム137摂取は健康に影響しない、というトンデモない結論を導くために使われているようだ。
困ったものだね。

カリウムはすべての細胞にとってなくてはならない元素であり、適正量を維持しなくてはならない。このため、どのような生物もその存在量はある一定の範囲に収まるよう、ホメオスタシスによって調節されている。人体の場合、体重のおよそ0.2%を占めている(すなわち、60 kg の成人ではおよそ 120 g のカリウムが含まれる(Wikipedia)。このうちカリウム40が一万分の一(より正確には0.000117,つまり12.2 mg)あり、カリウム40の比放射能が260 Bq/mg(原子力資料情報室)であるため、体内には 12.2 x 260 ≒4000 Bqが含まれることになる(カリウム1 g当り約30 Bqのカリウム40が含まれるといってもよい)。

セシウム137は比放射能が高い(3200 Bq/ng; カリウム40の1000万倍以上)。毎日カリウムを2 g摂るとするとカリウム40は60 Bq。セシウム137を同じ60 Bq摂取しても、重量としてはカリウム40の千万分の一以下。カリウム全体の千億分の一以下という勘定になる。

セシウムに対する独自のホメオスタシスはどのような生命も持ち合わせていない、と考えるのが妥当である。カリウムのホメオスタシスによってある程度の調節はされるだろうが、前回述べたように、セシウム137の生物学的半減期はカリウム40より2倍以上も長い。このことと、セシウム137の比放射能の圧倒的高さとから、その放射能はカリウム40以上に蓄積する可能性がある、と考えるのが妥当だろう。

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2012.01/28(Sat)

カリウム40とセシウム137 (1)

カリウム40は放射性同位体で、非放射性カリウムの約一万分の一だけ存在する。
物理学的半減期は12.8億年なので、約30数億年前、原始の海で生命が誕生したころには、現在の4倍ほども存在していたものと考えられる。現在では、人体に約4000Bqが定常的に存在するとされる。これは避けることのできない自然被曝、内部被爆だ。その影響については基本的に未知であると考えてよいことは前回述べたところである。

非放射性カリウムとカリウム40は、放射能を持つかどうかという一点で異なるだけで、生物学的挙動はそっくり同じのはずだ。
これに対し、カリウム40とセシウム137の生物学は基本的に異なる、と考えてよい。
それは、生物学的半減期がそれぞれ30日と70日~110日と異なるという点に端的に表現されている。

化学的性質が良く似ているので、生物学的性質も似ている、という議論がネット上で散見されるけれども、生物学的半減期の違いを見ればその議論の誤りが容易に明らかとなるわけだ。

セシウム137はカリウムより人体から(細胞から)排出されにくい。

セシウム137の生物学的半減期から概算すると一日当り体内蓄積量の約1%が排出される。
このため、一日の摂取と排出の収支がゼロになる定常状態では、摂取量(=排出量)の約100倍のセシウム137が蓄積していることになる。

40 Bqのセシウム137を毎日摂取し続けると、少しずつ増えていって4000 Bqぐらいになると、蓄積量は飽和し、もうそれ以上は増えなくなる(収支ゼロの定常状態に達する)。1 Bq摂取だと蓄積量約100 Bq。
(つづく)

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