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2012.03/23(Fri)

ダーウィン進化論の精髄(5)

NATROMさんのところに『ダーウィンは「変化に最も対応できる生き物が生き残る」と言ったか?』というタイトルのページがあって、少し気にかかっていました。ちょっと一部転載しておきますね。

(中略)しかし、ダーウィンは「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」ってホントに言ったのでしょうか。環境が一定でないという特殊な条件でしか、変化に対応できる生き物が生き残ると言えないのではないか、と思ってしまいます。力が強いものでもなく頭がよいものでもなく変化に対応できるものでもなく、子をたくさんつくるものがこの世に生き残るのだ、ってのがダーウィンの考えにもっとも近いような気がしますが。

と投稿したのです。投稿しちゃった後で、「もしダーウィンがホントにそう言っていたらみっともないなあ」と思い、確認のため「種の起源」を読み直したのですが、該当する記述を発見できませんでした。


生物学者で実際に「種の起源」を読んだ人はどれくらいかなぁ。千分の一にも満たないかも、と僕なんかは想像している。
現代生物学は「種の起源」を一つの土台にしているけれども、その精髄(自然淘汰原理)を汲み取って、遺伝学なり生態学なりと総合して、いわゆる進化の総合学説として基本理論とされているわけだ。自然淘汰原理についてはダーウィン進化論の精髄(2)で説明しておきました。因みに、ダーウィンの進化関係でオリジナルを読むことを薦めるとしたら「人間の由来」かな(これは面白かったよ)。

さて、『しかし、ダーウィンは「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」』の部分は小泉元総理の演説の一節のようです。

社会ダーウィニズムとヒュームの法則その他で説明したように、自然法則をひとつの「善」として社会に翻訳・適用しようという姿勢に騙されてはいけない、という前提を忘れないでくださいね。そのうえで以下、話をします。

なお、小泉元総理のこの演説における問題点は①ダーウィン学説の誤解(誤用)という側面と、②ヒュームの法則の侵犯という側面の二つがあります。この場合、政治演説なので②の側面のほうがより深刻な問題で、庶民を政治的に誘導するのに使われています。

本題に入ります。

『この世に生き残る生き物は、(中略)変化に対応できる生き物だ』という命題は、(それをダーウィンがいったかどうかはどうでもいいことなのですが、というとNATROMさんには叱られそうですが)、ある一面で、生物学的真実をとらえている、と思います。

生態学に「一般家 generalist」、「専門家 specialist」という学術用語があります。特殊な(狭い)環境に特化したのが後者の生物種で、いろいろな(広い)環境で繁殖可能なのが前者の生物種です。ここでは、生物を種speciesとして扱い、自然淘汰原理では生物を個体レベルでみていることに注意してください。また、相対的な分類であることにも注意する必要があるでしょう。

ある専門家が得意とするある特定の環境では、その専門家はほかのどの専門家や一般家よりも競争力が強い。しかし、その専門家は別の特定の環境では、逆のことがいえる。これに対し、一般家は特定の環境には特化していない分、幅広い環境で繁殖できる。

これを時間系列で言い換えると、専門家は一般家に比べ環境変動にもろい、という結論になります。
専門家も一般家も生物学における学術用語ですよ。

この一般則を地史学的時間スケールで裏付けるデータが↓の論文に載っています。
AH Knoll PNAS (1994) 91:6743-6750
Proterozoic and early Cambrian protists: evidence for accelerating evolutionary tempo
1994 Knoll PNAS

横軸には生物種が誕生してからの時間(百万年単位)を縦軸には種の存続率を対数でプロットしてあります。
なかなか絶滅しにくい種はM1コホートに属するもので17億年から14億年間に誕生したもの、すぐに絶滅しやすいのはC3でこれは約5億年前(つまりカンブリア紀)に誕生したものたちです。N2コホートはこの中間です。

地質年代的に古く誕生した種ほど現在までずっと存続する可能性が高い、ということです。
こうした種ほど、一般家的傾向が強いことは容易に推察できると思います。M1コホートは真核単細胞生物たちです。これよりもっと古い代表がシアノバクテリア(藍色細菌、ラン藻ともいう)で、陸上生物のすべても甚大な恩恵を受けている原核単細胞生物(今の場合、真正細菌)で、どこにでもいるコスモポリタンです。

さて、以上は種レベルでの専門家と一般家の対比です。

これを人間社会における個人の職業にかかわる用語(というか、もともと用語としてはこちらの方が専売だったわけですが)に翻訳し、時間スケールも一生としてみたてたとき、どの程度敷衍可能か、というのは面白いテーマです。
もちろん、善悪は抜きにして社会的現実はどうであるのか(あったか)、ということね。
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テーマ : 科学・医療・心理 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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